時間ができると言葉が溢れてくる。
駆け抜けた制作期間(10月からの数ヶ月)を振り返る。あっという間だった。
制作は大変だったが、早く終わらせたいとは一度も思わなかった。
実は、美術館の展示は感染拡大防止で原則接触禁止であったが、申請を出し、本人がいる時のみ体験可能という条件の元に展示ができることになった。
展示中は常時、会場にいた。日中少しずつ陽が昇っていき、西日の斜陽が射し、とっぷり暗くなるまでの8時間をこの場所で過ごした。おかげで本当に沢山の方々と話をした。
上野駅への帰り道、くるみパンを食べながら
食べること=会話をすること
という関係を思いつく。まるで咀嚼をするようだった。
噛み砕いて、味わうように、少しずつ作品のことを紐解いていく。
質問に対して、全てを回答できる訳ではなかった。
辿り着いていない部分が沢山あった。
だからこそ、会話によって導き出される様々な見解や新しいアイデアもあった。
トルコ留学中(2019~)からずっと考え続けていた修了制作。
それはたったの6日間で終わった。私はこの時間をとても楽しんだ。
自分の作品を展示したというより、この場所で一緒に展示したメンバーで「大学美術館エントランス」という空間を作り上げていった感覚がある。
入場して来た人が最初に通る場所であるが、午後はガラスのベンチに腰掛けて、少し休んだり、待ち合わせをする人々も多かった。
その中に私達の作品があった。窓から入る陽射しでみんなの作品が照らされた。
いつしか開放的なこの空間がとても好きになった。
▼ 写真は空いている時のエントランス。土日は通路が埋まる程すごい人であった。
中央のヒョウさん(デザイン科)の作品も体験型。
6日間に渡る展示が終わった。夢のような時間だった。もう一度やっても良い。
沢山の人と交わした言葉を思い出す。
自分で発した言葉を思い出しては、あれで良かったのだろうか?と時々どうしようもなく恥ずかしくなって叫びたくなる。
人からもらった言葉は完璧には覚えていなくて、もらった瞬間に脳内にメモできればいいのに、と思う。
その人と話した”感触”というものが残る。
アウトプット(つくること)をずっと続けてきて、大分疲れてしまったけど、まだまだ表現を落とし込めていないという自分の力不足を感じる。そういう時は案外やる気が出るもので、もっとこの研究は続いていくのだと不思議な安堵感があったりもする。
自分が生きているうちにどこまで到達できるかわからない。
結局は誰かがやっている事をなぞるだけなのかもしれない。
それでも良いんじゃないかと最近は思う。人間同士ある程度は似ている。
大学内での評価(賞など)は結局何も得られなかった。候補にもならなかった。
でも、案外その方が良いのかもしれない。
今回は自分自身を自分の意思だけで運ばなくてはならない。
次はどこへ行こう?
天王洲セントラルタワーアートホールにて卒業制作の作品『輪』を展示します。
東京藝術大学 工芸科 陶芸研究室の学生、有志11人による展示です。
大学院1年生、卒業制作を控えた学部4年生を中心に展示します。
それぞれが持つ個性や陶の表現をどうぞお楽しみください。
〈 出展作家 〉
小田原唯 河内理帆 式場あすか 清水咲希 高橋侑子
内山悠 笠井千秋 神保惇 韓 蘊澤 門 富楽 劉 夢
〈 会期 〉
2018年4月16日(月)~27日(金)
8:30~20:00
※土日祝日休館
※最終日16:00まで
◎4月16日(月)にオープニングレセプションパーティーを行います。
どなた様でもお気軽にお越しください。
〈 場所 〉
りんかい線 天王洲アイル駅から直結
天王洲セントラルタワーアートホール1階ロビー